先日、埼玉日本語ネットワーク2022秋の研修会に講師として呼んで頂きました。
埼玉日本語ネットワークは、埼玉県内の地域日本語教室や日本語支援に携わっている個人の方々の
ネットワーク作りや情報交換を目的に活動していらっしゃる団体で、
今年、設立30年を迎えた歴史と実績のある団体です。
埼玉県内の地域日本語教室案内(埼玉県内にある全日本語教室のリスト)を作成して下さっており、
これを見れば埼玉県内にある地域日本語教室の情報がすぐにわかります。
年に2回、埼玉県内の日本語支援者を対象とした研修を開催されており、
毎年様々なテーマが取り上げられてきましたが、
今回は、コロナ禍で活動の見直しを余儀なくされた団体も多数あるという状況を踏まえ、
『よりよい日本語教室を目指して ~ これまでの「当たり前」を問い直す ~』というタイトルで
グループワークを多く取り入れ、意見交換を中心とした研修を行いました。
様々な観点から自分の活動団体の「当たり前」だと思っていたことを見つめ直し、
他の活動団体の方との意見交換を通して、
改善できる点がないか、よりよい方法はないかを考えて頂きました。
私からは以下のような観点を提供しました。
( )は具体的にグループワークで意見交換をした内容
①日本語学習支援者に望まれる資質・能力とは
(話題の選び方・望ましいコミュニケーションの方法・教室活動のスタイル)
②日本に住む外国人住民の背景を知る
(とりわけ埼玉県内の外国人住民の背景について理解を深める)
③日本語支援者と日本語教師の役割について
(自分はどのような立場で活動に参加したいのか)
④教科書は必要か
(オンライン教材の動画を発展させ、教室活動を考える)
⑤活動メンバーの高齢化・固定化
(外の力をどうやって借りるか)
50名ほどの方々に参加して頂き、活発な意見交換が行われました。
各現場の声に耳を傾けてみると、皆さんがいかに日々様々な奮闘をされているか分かりました。
支援している対象者は「地域に住む外国人住民」といっても、
実際には外国につながる児童だったり、技能実習生だったり、帯同家族であったり、
日本で子育てをする保護者だったり・・・実に多様です。
日本に住んでいる(そして住み続ける)外国人住民の増加と共に、
それぞれに求められる支援の内容、方法も多様化していることを肌で感じます。
もちろん、外国人住民のことばの問題を地域のボランティアが請け負うのではなく、
外国人労働者の受け入れを始めた日本が
国の制度として外国人就労者やその家族(子供も含む)への日本語教育を保障することが必要ですが、
それでもやはり重要なのは、草の根レベルの地域の多文化共生。
その地域に住んでいる住民同士のコミュニケーション(近所のお友達の関係)がやっぱり不可欠だと思います。
各地域で地域日本語教室をデザインする「地域日本語教育コーディネーター」
外国語としての日本語を教えるプロフェッショナルとしての「日本語教師」
地域住民同士として地域日本語教室を支える「日本語支援者」
がそれぞれの役割をもって協働することで、
各地域の多文化共生の実践の場としての「地域日本語教室」が実現できるのだと思います。
と理想を書きましたが・・・
外国人住民の日本語支援に携わっている人って
本当に元気で若々しくて生き生きとしている人の多いこと!驚きます!
「日本を選んで働きに来て、住んでくれている人と話すのは本当に楽しいですよ」
「20代そこそこで一人で日本に来て働いている子が、自分を親のように慕ってくれるのが嬉しいです」
「外国人か日本人かにこだわらず、地域に友達が増えるのは楽しいです」
と、ただただ人との交流を楽しみ、自分の生きがいとなっている人も多いようです。
私もその一人です。
講義時間は4時間と少々長かったですが、
素晴らしき多文化共生の一端を感じられた一日でした。
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