「世田谷区JCA玉川木曜クラス」で日本語ボランティア研修をさせていただきました

昨日、世田谷区日本語ボランティア教室「JCA玉川木曜クラス」にお邪魔し

そこで活動されているボランティアの方々を対象に

【多文化共生社会における日本語ボランティア教室の在り方】をテーマに

研修をさせて頂きました。


1.日本の外国人材受け入れ状況の概観 ―日本で暮らす外国人住民の背景― 

2.多文化共生社会における地域日本語教室の在り方 ―日本語ボランティアの役割とは―

3.教室活動のアイデア紹介 ―取り入れてみよう!多文化共生社会に合った教室活動― 

4.まとめ・質疑応答


という流れで、2時間があっと言う間に過ぎました。


日本に定住を前提としてやってくる外国人住民の増加と、彼らの背景も多様化していること。

就労者のみならず、その帯同家族も増加し、今後も増えていくこと。

日本にやってきて今後の人生を日本で歩む人々がどんどん増えている。

地域日本語教室にやってくる外国人は「いつか国に帰る人」ではなく

日本で生活し、働き、家族を作り、子育てをし、教育を受け、日本で老後を過ごす。

彼らは私たちと共に日本社会を作る一員なのだと捉える視点の大切さについて考えました。


それに伴って、日本語を学ぶ目的も多様化していること。

日本語母語話者の日本語が外国人住民の日本語学習の目標とはならないこと。

外国人住民の多様な背景、文化から影響を受けた多様な日本語を

私たち日本社会が広い心で受け入れていくことの重要性。

そして、地域における日本語教室は、その街の多文化共生の拠点なのだということ。

地域のボランティアの方々がそこで日本社会と外国人住民の仲介者となることで

多文化共生の街づくりが進んでいくということ。

前半はこんな話をさせていただきました。


後半は活動時間にどんな活動をすればよいかについて考えました。

外国人住民が地域日本語教室に来る目的は日本語学習だけではない。

話したい事、興味のあることを話してもらう工夫。

その人が好きなこと、興味のあること、はまっていること、もの・・・

その人が話したいことを探り、想像力を働かせて話題を見つける。

子どものいるお母さんなら、子どもの幼稚園のこと、学校のこと、個人面談で何を話すか、

夏休みに子どもをどこに連れていくか・・・その人の日常生活を想像すること。

そして質問するだけでなく自分のことも開示して初めて相互理解、真の交流ができる。


教科書を使っていても、活動時間を教科書の練習だけに使わないこと。

文法や発音の間違いを訂正することに固執しないこと。

教科書はあくまでも素材として使う。

文法ベースの教科書を使っていても、文法を学んだとしても、

本物の会話、相手にとって現実味のある会話に発展させること。

そこにはCan doベース(課題遂行)の考え方がキーになること。


そして、外国人住民の代わりに何かをやってあげるのではなく、

日本語学習を強制するのでもなく、

その人が日本社会に参加し、自己表現できるように、

そして日本で人生を楽しみ、自己実現できるように寄り添い、伴走すること。

外国人住民のエンパワーメントにつながる日本語学習活動を考えて、

自分自身もボランティアとして楽しく活動すること。


こんなことについて、2時間考えることができました。


最後の質疑応答ではたくさんの方々からご発言を頂きました。

また、終了後には直接ご感想を言いに来てくださるかたがたくさんいて、

「活動しながらもやもやしていたものがすっきりした」

「使っている教科書が相手のニーズに合わないことをどう考えればよいかヒントになった」

「外国人住民の背景がかなり変化していることを理解することができた」

「ボランティアとして活動する時の心構えについて、すとんと落ちた」

などのコメントを頂きました。


地域の外国人住民との交流をボランティアで取り組んでくださっている人たちが

こんなにいるということに、日本社会への希望を見た一日でした。


世田谷区には17の地域日本語ボランティア教室があるそうです。


今後、外国人住民の言語保障として

県、市区町村が実施する公的な日本語コースの開設が自治体に求められ、増えていくと思いますが、

それでもなお、市民ボランティアによる「その街の日本語ボランティア教室」は残り続け、

その街の多文化共生の拠点として、多文化共生の活力ある街づくりの大きな役割を果たすと思います。




日本語サービス YOU&I

多文化共生を理念とし、埼玉県朝霞市を中心に、外国にルーツを持つ方々の生活を快適にするための「ことば」に関するサービスや、外国人住民と地域社会のコミュニケーションを繋ぐサービスを提供しています。

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